ここでは、マレーシアでの確定申告(会社員)について解説していきます。
申告対象者
マレーシア国内の会社からの年収(1/1~12/31)が34,000RMを超える、もしくは、月収約2,833.33RM以上、かつ60日以上勤務が申告対象者になります。
日本の会社員の場合、ほとんどが会社で申告されますが、マレーシアでは、日本の自営業者と同じように個人個人申告します。
居住者(Resident)と非居住者(Non-Resident)
マレーシアでは、1年間(1/1~12/31)で183日以上の滞在の外国人を居住者(Resident)、183日未満の滞在の外国人を非居住者(Non-Resident)とみなされます。
滞在日数 | 税率 | 所得控除 | |
居住者(Resident) | 183日以上 | 所得による | 申請可 |
非居住者(Non-Resident) | 183日未満 | 一律28% | 申請不可 |
※1 非居住者(Non-Resident)から居住者(Resident)になるには、滞在日数(183日以上)条件の他に、期間中、プライベート(ビジネスの場合は対象外)での出国日数が合計14日を超えてはいけないとの条件もあります。
※2 居住者(Resident)の条件をクリアした時点でお近くの税務署(LHDN)へ申告(オンライン申告不可)することによって、納付済みの非居住者(Non-Resident)の税率が、さかのぼって、居住者(Resident)の税率に計算され、差額が還付されます。
税金の計算方法
・非居住者(Non-Resident):税率は一律28%で所得控除なし
税金=総所得額×0.28(28%)
例1:マレーシアに180日滞在で総所得が60,000RMの独身でその他の所得控除がない場合の税金は60,000×0.28=16,800RMとなります。
・居住者(Resident):税率(2019年度)は下記の表のとおり
Chargeable Income | 税率 |
0~5,000 | 0 |
5,001~20,000 | 1 |
20,001~35,000 | 3 |
35,001~50,000 | 8 |
50,001~70,000 | 14 |
70,001~100,000 | 21 |
100,001~250,000 | 24 |
250,001~400,000 | 24.5 |
400,001~600,000 | 25 |
600,001~1,000,000 | 26 |
1,000,001~2,000,000 | 28 |
2,000,001~ | 30 |
上記の表のChargeable Incomeとは、税率がかかる金額のことで、基本は総所得から所得控除を引いた金額です。
例2:マレーシアに365日滞在で総所得が120,000RMで申請できる所得控除がない場合の税金は、まず、デフォルトで9,000RM所得控除されますので、Chargeable Income:120,000-9,000=111,000RMとなります。
5,000×0%=0
15,000×1%=150
15,000×3%=450
15,000×8%=1,200
20,000×14%=2,800
30,000×21%=6,300
11,000×24%=2,640
上記のように表の税率をもとに税金を算出し合計すると、0+150+450+1,200+2,800+6,300+2,640=13,540RMとなります。
通常、会社は、この13,540RMに近い合計金額を給料から差し引いていますので、確定申告の際、所得控除が0RMの場合の還付金は、ほぼ0RMとなります。
仮に、所得控除の合計額が11,000RMとなった場合の還付金は約2,640RMとなります。
2019年度の所得控除の内容については、マレーシアの所得控除リスト(2019年度)へGO!!
なお、例1で計算した税金16,800RM(60,000×0.28)については、居住者(Resident)の条件が満たされた後、税務署(LHDN)へ居住者(Resident)の申告をすると、下記のように、居住者(Resident)の税率で再計算されます。
デフォルトで9,000RM所得控除されるので、Chargeable Income:60,000-9,000=51,000RMとなり、
5,000×0%=0
15,000×1%=150
15,000×3%=450
15,000×8%=1,200 1,000×14%=140
0+150+450+1,200+140=1,940RMと再計算され、16,800(最初に計算された税金)-1,940(再計算された税金)=14,860RMが、還付されるのです。
申告方法
確定申告の方法については、税務署申告とオンライン申告があります。
- 税務署申告
- 直接、お近くの税務署(LHDN)に行って申告しますが、実質、税務署内のパソコンを使い、オンライン(e-Filing)にて申告します。
- オンライン申告
- オンライン(e-Filing)にて申告しますが、初めての申告はe-Filingへ初期登録するために、Pin Numberを取得する必要があります。
初めての確定申告は、e-Filing Pin Numberの取得方法へGO!!
2回目以降の確定申告は、e-Filingでの申告方法(会社員)へGO!!
申告フォーマット
申告者のステータスによって、申告フォーマットが異なります。
申告フォーマット | |
居住者(Resident) | e-BE |
非居住者(Non-Resident) | e-M |
申告期限及び支払い期限
期限は税務署申告とオンライン(e-Filing)申告では下記の表のように異なります。
※ COVIT-19の影響により、2020年(2019年度分)の期限は6/30まで延長されておりますが、e-Filingにて確定(Submit)をしてしまったら、オンラインでは訂正できないため、早めの申告が安心です。
通常期限 | 2020年(2019年度分)の期限 | |
税務署申告 | 4/30 | 6/30 |
オンライン申告 | 5/15 | 6/30 |
延滞金
延滞金は表のとおりです。
期限内 | 1~60日超過 | 61日以上超過 | |
延滞金 | 0 | 未納金の10% | 未納金の10%+(未納金+未納金の10%)の5% |
例:2020年(2019年度分)の申告で未納金が100RMの場合
6/30まで | 7/1~8/29 | 8/30以降 | |
延滞金(RM) | 0 | 10 | 15.5 |
支払い合計(RM) | 100 | 110 | 115.5 |
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